離れた場所の動画が見られるネットワークカメラ(IPカメラ)はとても便利です。
高額なのがネックだったのですが最近は中国製のネットワークカメラが非常に安価に入手出来るようになってきました。
ただ普及と同時に問題になってきたのが「覗き見」「乗っ取り」などのセキュリティーリスクです。
例えばこのサイトでは他人のネットワークカメラの画像を見られます。
こちらはどこかの事務所でしょうか?
怖いですよね。
この記事では
- ネットワークカメラが欲しい!
- でも値段もピンきりで「違い」がわからない
- 安い製品は覗き見される危険性があるらしいけどどうして?
という疑問に答えつつ「安全に使えるネットワークカメラ」と「危険な製品の見分け方」について解説します。
もくじ
ネットワークカメラの乗っ取り、覗き見被害
「監視カメラから『謎の声』盗撮・乗っ取りの恐怖」というニュースをお聞きになった方も多いのではないでしょうか?
部屋に設置した監視カメラから謎の声が聞こえてきたという夫婦の証言です。
「深夜12時すぎに・・・(カメラから)声が聞こえてきたんです。怖かったです」(“謎の声”を聞いた Aさん)
“声が聞こえてきた”のは、中国製のカメラでインターネットに接続して映像を確認するタイプのもの。
「#%$☆・・・」
「え? どういうこと?」(Aさんの妻)
「ちょっと離れて・・・」(Aさん)この音声は“ベトナム語”。
「1・2・乾杯」「シャツを下さい」
(知り合いにベトナム人の方はいますか?)
「いないですね」(Aさん)
(奥様は?)
「いないです」(Aさんの妻)「(誰かに)見られているかもしれないし、聞かれてるかもしれないのは、すごく気持ち悪いです」(Aさんの妻)
インターネット越しに動画を見られるネットワークカメラは「ログインIDとパスワード」が分からなければ本来は見れないはずです。
しかし、このように見ず知らずの第3者にカメラを操作され、覗き見される事があります。
特にこの問題は安価な「中国製格安ネットワークカメラ」で多く発生しています。
ネットワークカメラとホワイトラベル
セキュリティー問題の規模を大きくしている原因は技術的な問題ではありません。
どちらかと言えば「流通」や「商習慣」の問題と言えます。
例えば
この3機種はソックリですよね?
一つのメーカー製が本物で、他のメーカーは偽物・コピー品なのでしょうか?
いえ、これは全て本物といえます。
ただ、どのメーカーも自社では製品を製造していません。
仕入れた商品に自社のメーカー名を付けて販売しているだけです。
このような製品は「ホワイトラベル」や「ホワイトレーベル」、「OEM製品」と呼ばれます。
名前が示す通り無地の製品で製造メーカー名は入っていません。
仕入れた業者が自社名を印刷だけして(印刷すらしない場合も多い)販売します。
そのため売れ筋のホワイトラベル製品は同じ外観で多数のメーカー名や型式で販売されています。
ホワイトラベル製品は問題意識が希薄
このような「ホワイトラベル製品自体が危険だ」というわけではありません。
どこの観光地にも同じようなお土産がパッケージだけ変えて売っていますよね?
遊園地が自社でクッキーを作っているわけがありませんものね。
それと同じようなことです。
ただIT機器。特にネットワークカメラでは「中国のホワイトラベル製品」が大きな問題になります。
重大なセキュリティリスクが放置される
ネットワークカメラのような高度な製品でも自社名を印刷するだけですので販売するのは簡単です。
販売メーカーは「自宅で電話とパソコンだけで開業している個人」という場合も多々あります。
実際あなたがテプラで「自分の考えたメーカー名」を「仕入れたカメラに貼れば」オリジナルネットワークカメラの完成です。
AMAZONでの販売もハンコ一つ不要です。メルカリに出品する感覚で簡単に販売できます。
このようにネットワークカメラの販売自体は非常に簡単なのです。
販売するのはいいとして、そのようなメーカーのネットワークカメラがハッキングされるような脆弱性が見つかったとして適正な対応やアフターサービスを提供できるでしょうか?
出来るわけがありません。
自社製品への理解やIT機器の構造、プログラムに詳しいわけでもありません。
ただ「儲けになる」から販売しているだけなのですから。
ホワイトラベル製品は狙われやすい
IPカメラをハッキングする側もホワイトラベル製品は狙い目なのです。
大手メーカー製は脆弱性や不具合が発見されると出来るだけ短時間でその問題を解決しようと努力します。
自社の看板製品が問題になれば信用問題に関わるからです。
大きなコストを掛けてでもブランドを守るのです。
一方でホワイトラベル製品は、製品やメーカー名にあまり価値がありません。
似たような製品があるので価格で勝負するしかなくアフターフォローにコストは掛けられません。「メーカー名を変えたり他のホワイトラベルに変える」だけで問題解決。
ユーザーは切り捨てです。
このようにハッカー側としてはホワイトラベルのネットワークカメラはいつまでも覗き見できる効率の良い製品なのです。
ホワイトラベルの中身はホワイトラベル
ホワイトラベルなのは最終製品だけではありません。
実はホワイトラベル製品の「中身=チップ(基盤やプログラム)」もホワイトラベルの場合も多々あります。
安価な中国製ネットワークカメラはほぼこのパターンです。
⬇
ネットワークカメラメーカーは多数のメーカーにホワイトラベルのネットワークカメラ販売する
⬇
中身が同じで外観やメーカー名・型番が異なる製品が大量売られる。
このように消費者の手に渡るネットワークカメラは膨大でも「中身は全部同じ」という製品が非常に多いのです。
ハッカーがハッキングを行うのは「チップやプログラム」に対してです。
- 安価なので大量に出まわっている
- 1つのチップをハックすればホワイトラベル製品を一気にハックできる
- ホワイトラベルメーカーは責任感が薄く対策を取らない
- 長期に渡り乗っ取ることが出来る
このようにホワイトラベルのネットワークカメラはハッカーにとっては非常に効率の良い製品なのです。
大手メーカー製も脆弱性はある。しかし対応が違う
ネットワーク機器に完璧な製品というのは難しいものです。
防ぐ方は360°漏れなく完璧に防がなくてはなりません。逆に攻撃する方は1箇所だけでも穴を見つければいいのです。
それでも大手はコストをかけ穴を防ぎます。また万が一問題が見つかった時はすばやく対応します。
これは製品の価格に当然反映されます。
大手メーカー製品が高価なのはある程度仕方ないのです。
大きな問題にならない製品なら「無名の中国メーカー製」を値段優先で選ぶのも良いと思います。
しかしネットワークカメラ、IPカメラに関しては大手メーカーを選択することが必須なのがおわかりいただけたと思います。
信頼できる大手メーカー製ネットワークカメラ
アフターフォローやセキュリティについてしっかり対応できる大手メーカー製のネットワークカメラを紹介します。
【個人ユースに最適】I-O DATA TS-WRLP
低価格ながら動作検知/人感/音/気温/湿度などのセンサーを搭載した良コスパ機。
販売開始から2年近く経過し完成度が非常に高くなっています。
ファームウェアは7回もアップデートされておりメーカーの製品に他する姿勢が見て取れる製品です。
基本機能充実
安価
首振りや光学ズーム機能はない
赤外線撮影がない
【首振り・赤外線】PLANEX CS-QR30F
ネットワーク製品の総合メーカー「PLANEX」のネットワークカメラです。
パン(左右)320°・チルト(上下)35°の範囲でカメラの向きをスマホで操作でき死角をなくします。
赤外線カメラで暗視撮影も得意
動体検知の見守りモード搭載
無線LAN搭載
有線LAN不可
【充電式で完全ワイヤレス】NETGEAR Arlo Pro
カメラにWiFiと大容量バッテリーを搭載したことにより完全ワイヤレスを実現したネットワークカメラです。
「完全防水+ワイヤレス」により電源やLANケーブルがない屋外でも簡単に監視カメラを設置できます。
最長6ヶ月のバッテリー寿命
連続撮影不可(動体/音声検知専用)
バッテリーの充電が必要
まとめ
ネットワークカメラ、IPカメラはいかがだったでしょうか?
PCを使わず動画配信できるネットワークカメラはとても便利です。
ただ便利な分リスクもある商品です。
特性を十分理解し、安心安全なネットワークカメラを見つけてくださいね。
なお配信ではなく「赤ちゃんの見守り」ならベビーモニターの方が安心です。
カメラとモニターがセットになっているのでハッキングされる心配がありません。
こちらの記事も参考にしてくださいね。